今日は天気もいいしカスタムビンテージハーレーでツーリング。。。
ガソリンコックを開けエンジンをかけようとしたら、いつの間にかエンジン周りがビシャビシャ!
ハッと気づけばキャブレターからガソリンが溢れている。
というトラブルありますよね
今回は、SUキャブレターのオーバーフローについて解説です。
前提条件として、
・キャブレターがSU
・大きな衝撃を与えたなどきっかけは特になし
・前回は通常に動作していた
・ガソリンコックオンオフに連動する形でティクラーからガソリンが出てしまう
などに当てはまる場合、解決の参考になります。
SU以外のキャブレターはオーバーフロー専用ホースがついています。オーバーフローした場合はホースの出口が水たまりになります。原因や対処法は同様です、詳しくは別の機会に解説します。
キャブレター内のガソリンバルブに異常が発生しています。
・異物が挟まって、バルブが閉まらない
・ニードルが変形してガソリンを止めきれない
いずれかが原因です。
異物が挟まって、バルブが閉まらない場合の対処法
応急処置
SUキャブレターの下側3分の1がガソリンタンクになっています。そこに軽く振動を与えてあげるとバルブに挟まった異物が流れてくれることがあります。ゴムやプラスチックのハンマーで優しく小突いみてください。解決しない場合は次の対処法に進んでください。
対処法
必要なもの
工具:短い又はL型のマイナスドライバー、ウェス、ガソリン受け皿(ダイソー等で購入できる浅めの金属トレー、コップ1杯分がこぼれない程度の容量、柄の長いシェラカップが便利)
パーツ:交換必須パーツはありません
あると助かるもの:フロートシール(伸びてしまって元に戻せない!というとき新品があると助かります)
https://www.neofactory.co.jp/product_detail/021715/
https://www.neofactory.co.jp/product_detail/035223/
手順
キャブレター底面のマイナスビス4本を緩めます。この時ガソリンが漏れ出るので、受け皿でうけてください。
底面のフタを外すと中身はこのようになっています。フロートに連動するバルブに異物が挟まっていないか確認したいところですが、エンジンからキャブレターを外さないと見れない部分ですので、想像での作業になります。

フロートの浮力でバルブを閉じ、ガソリンをせき止めます。指で軽くスロートを上下させて動きをイメージしてみてください。
実際にガソリンを流し動作を確認してみます。
ガソリン受け皿を用意し、フロートを軽く押し上げバルブを閉じた状態を再現します。ガソリンタンクのコックを開け、フロートの上下動でガソリンを止めたり流したりできれば正常です。
何度か繰り返すうち異物が流れ正常に戻ります。
正常なことが確認できたら逆の手順で元に戻します。
フタの向きに注意してください、中央のノズルを避ける向きで扇形のくぼみを合わせます。
フタを閉める際はフロートシールが定位置に納まるように組み付けてください。
ガソリンを吸ったフロートシールが伸びてしまった場合は、ウェスに吸わせる、冷やすなどの方法で取り付けることもできますが難易度が高いです。素直に新品へ交換するのも手です。
ニードルが変形してガソリンを止め切れない場合の対処法
応急処置
応急処置ができないので、エンジンからキャブレターを外し分解します。
対処法
必要なもの
工具:3/8レンチ、1/2レンチ2本、マイナスドライバー、ウェス、ガソリン受け皿
パーツ:ニードル
https://www.neofactory.co.jp/product_detail/035256/
https://www.neofactory.co.jp/product_detail/035338/
あると助かるもの:シリコンスプレー
手順
キャブレターからガソリンホースを外します。ガソリンが多少出ますのでウェスに吸わせてください。
インテークマニホールドからキャブレターを外します。キャブレター裏側4点のボルト&ナットで留まっています。右下のボルト&ナットはキャブレターステーと共締めになっているので最後に緩めます。
キャブレター内のガソリンを抜きます。ティクラー側を下にすると、赤丸の小さな穴を通りティクラーからガソリンを抜けます。ガソリンを抜き切ったら底のフタを外します。

フロートを留めている軸を抜くとバルブが現れます

小さなロケットのようなものがニードルです。ゴムがヘタってガソリンを止めきれない場合交換してください。
https://www.neofactory.co.jp/product_detail/035256/
https://www.neofactory.co.jp/product_detail/035338/
ティクラー内部をガソリンが流れたことで、動きが渋くなることがあります。その場合はシリコンスプレーで潤滑するとスムーズになります。
逆の手順で元に戻します。
フタの向きに注意してください、中央のノズルを避ける向きで扇形のくぼみを合わせます。
フタを閉める際はフロートシールが定位置に治るように組み付けてください。
注意点
ガソリンを扱いますので火気厳禁です。
ガソリンを吸わせたウェスの取り扱い、処分に注意してください。
換気にも気を配りましょう。
再発防止策
・ガソリンフィルターの種類によっては、ガソリンタンクから流れてくる異物を止めきれない場合があります。異なる種類のガソリンフィルターを使うと改善する場合があります。
・サビ取り剤やタンク内コーティングで異物の発生が抑えられる場合があります。
Q&A

オーバーフローとは?

溢れ出てしまうことです。今回はキャブレターが蓄えておくべき量を超えてガソリンがオーバーフローしてしまいました。

ティクラーとは?

SUキャブレターについているガソリンポンプです。エンジンを始動する際に利用するします。ティクラーの穴を塞ぎながら押すことで、竹鉄砲の要領でガソリンを吸気通路に提供します。

ニードルとは?

キャブレター内でガソリンを止めるバルブのゴムパーツです

フロートとは?

キャブレター内のガソリンタンク(フロート室、フロートチャンバーと呼ばれる)で使われる浮きです。ガソリンが一定の量まで流入するとフロートに連動したニードルがバルブを閉じ、流入を止める働きをします。

インテークマニホールドとは?

エンジン吸気側とキャブレターの間のパーツです

SUキャブレターにガソリンドレンはついてないの?

ついていませんが、後付けのパーツがあるようです。https://www.neofactory.co.jp/product_detail/023175/
まとめ
キャブレターからガソリンが溢れてしまったときは、まず簡単な応急処置を試してみます。
改善が見られなければ分解することになります。
異物を発見したり、ニードルの当たり面に異常があれば原因が明らかになりますが、小さなパーツなので見落としやすいです。よーく観察してみてください。
オーバーフローの頻度が高い場合、フロート調整不良、ガソリンタンク内の錆や塗膜剥離が多い、ガソリンフィルターの劣化など他の原因が考えられます。その場合根本的な対策が必要になります。